「LT走という言葉を見かけるけれど、どのくらいの速さで走ればいいのか分からない」
「ペース走やインターバル走とは何が違うの?」
「初心者が取り入れても大丈夫?」
ランニングの練習メニューを調べていると、よく出てくるのが「LT走」です。
LT走は、10kmやハーフマラソンで記録を伸ばしたい人にとって効果的な練習です。しかし、ペース設定を間違えて速く走りすぎると、必要以上に疲労が残り、練習を継続できなくなることがあります。
私は10kmを48分台で走るレベルで、LT走を1kmあたり4分55秒前後で実施しています。ただし、毎回ペースを上げるのではなく、その日の気温や疲労に合わせて5分00秒前後まで落とすこともあります。実際に行って感じたのは、LT走は「速く走る練習」ではなく、「速すぎないペースを守る練習」でもあるということです。フォームを意識することが大事です。
この記事では、LT走の意味や効果、適切なペース、距離、具体的なやり方を初心者にも分かりやすく解説します。
結論からいうと、LT走で最も大切なのは「限界まで追い込むこと」ではありません。
「きついけれど、最後までペースをコントロールできる強度」で走ることがポイントです。
LT走とは?
LT走とは、LT付近の強度で一定時間走るトレーニングです。
LTは「Lactate Threshold」の略で、日本語では一般的に「乳酸性作業閾値」や「乳酸閾値」と呼ばれます。
LTは「乳酸性作業閾値」のこと
私たちの体内では、安静にしているときやゆっくり走っているときにも乳酸が作られています。
運動強度が低いうちは、作られた乳酸を体内で処理しながら走ることができます。しかし、走るスピードを上げていくと、乳酸が作られる量と処理される量のバランスが変化し、血中乳酸濃度が上昇していきます。
その変化を捉えるために使われるのがLTです。
ただし、LTには複数の定義や測定方法があり、「この速度を1秒でも超えたら急に走れなくなる」という明確な境界線ではありません。
初心者の場合は、難しい数値を覚えるよりも、LT走を「速いペースを長く維持する能力を鍛える練習」と理解しておけば十分です。
初心者は「きついけれど維持できるペース」と覚えよう
LT走の強度は、一般的に「きついけれど、ペースをコントロールできる」程度です。
全力疾走ではありません。
感覚としては、次のような状態が目安になります。
- 楽ではない
- 呼吸は弾む
- 長い会話は難しい
- 短い言葉なら話せる
- 最後までフォームを保てる
- 終了後に「あと少しなら走れそう」と感じる
最初から息が上がり、数分でペースを落としたくなる場合は、LT走としては速すぎる可能性があります。

LT走で期待できる3つの効果
速いペースを長く維持しやすくなる
LT走を継続すると、以前よりも速いペースで走ったときに、余裕を持って動き続けやすくなります。
10kmやハーフマラソンでは、短い距離を全力で走るスピードよりも、ある程度速いペースを長く維持する能力が重要です。
そのためLT走は、持久力とスピードの中間を鍛える練習と考えられます。
10kmやハーフマラソン後半の失速を防ぎやすくなる
レース前半は順調でも、後半になると呼吸が苦しくなり、急にペースが落ちる人は少なくありません。
LT走では、ややきつい強度を一定時間維持します。
この練習を繰り返すことで、速いペースに対する体の余裕を作り、レース後半でも粘りやすくなります。
ただし、LT走だけで後半の失速を完全に防げるわけではありません。ハーフマラソンでは、ロング走による脚づくりや、適切なペース配分も必要です。
自分に合ったペース感覚が身につく
LT走では、速すぎても遅すぎても狙った練習になりません。
そのため、時計の数字だけでなく、呼吸、脚の疲れ、フォームなどを確認しながら走る必要があります。
継続することで、「今日は少し余裕がある」「設定ペースは同じでも体が重い」といった体調の変化に気づきやすくなります。
このペース感覚は、レース本番のオーバーペースを防ぐうえでも役立ちます。
LT走のデメリットと注意点
LT走にはメリットがある一方で、やり方を間違えると逆効果になることがあります。
ペースを上げすぎると別の練習になる
LT走でよくある失敗が、設定よりも速く走りすぎることです。
速く走るほど効果が高くなるわけではありません。
呼吸が激しく乱れ、最後まで維持できないペースになると、LT走ではなく、インターバル走に近い高強度トレーニングになります。
LT走の目的は、限界まで追い込むことではなく、適切な強度を一定時間維持することです。
疲労が残りやすい
LT走はジョギングよりも負荷が高いため、翌日まで脚の重さが残ることがあります。
特に初心者が長い距離を走ったり、週に何度も行ったりすると、疲労が抜けにくくなります。
基本的には週1回から始め、翌日は休養または軽いジョギングにしましょう。
毎回同じペースで走れるとは限らない
LT走の適切なペースは、気温、湿度、風、坂道、睡眠、仕事の疲れなどによって変わります。
特に夏場は、同じペースでも心拍数や体感強度が高くなりやすいため、設定ペースを守ることにこだわりすぎないことが大切です。
LT走の適切なペースは?
目安は1時間程度維持できるレースペース
LTペースは、一般的に「レースで1時間程度なら維持できる強度」がひとつの目安です。
多くの市民ランナーでは、10kmのレースペース前後になることがあります。
ただし、走力によって10kmの所要時間は異なります。
10kmを40分で走る人と、60分で走る人では、同じ「10kmペース」でも持続時間が異なるため、必ずしも全員に同じ考え方が当てはまるわけではありません。
初心者は、タイムだけでなく体感強度も組み合わせて判断しましょう。
会話と主観強度で判断する方法
LT走中は、長い文章を話すのは難しいものの、短い言葉なら話せる程度が目安です。
主観的なきつさを10段階で表すなら、7前後です。
- 1〜2:非常に楽
- 3〜4:楽なジョギング
- 5〜6:少しきつい
- 7:きついが維持できる
- 8〜9:かなりきつい
- 10:全力
LT走で8〜9の状態が続いている場合は、ペースを落とした方がよいでしょう。
10kmのタイムから計算する目安
次のペースは、あくまでスタート地点として使う目安です。
| 10kmの記録 | LT走のペース目安 |
|---|---|
| 60分 | 6分00秒〜6分15秒/km |
| 55分 | 5分30秒〜5分45秒/km |
| 50分 | 5分00秒〜5分15秒/km |
| 48分 | 4分50秒〜5分05秒/km |
| 45分 | 4分35秒〜4分50秒/km |
例えば、10kmを48分前後で走れる人なら、最初は1kmあたり5分00秒前後から始めます。
余裕があるからといって、すぐに4分40秒まで上げる必要はありません。
最後までペースとフォームを保ち、終了後に少し余力が残る強度を探しましょう。
心拍数だけで決めない方がよい理由
心拍数はLT走の強度を確認する材料になりますが、心拍数だけでペースを決めるのはおすすめしません。
心拍数は、気温、睡眠不足、カフェイン、緊張、脱水、測定機器の誤差などの影響を受けるからです。
時計にLT心拍数が表示される場合も、絶対的な正解ではなく参考値として使いましょう。
ペース、心拍数、呼吸、主観的なきつさを組み合わせて判断する方法が現実的です。
LT走は何キロ・何分走ればいい?
LT走では、距離よりもLT強度で走った合計時間を意識する方が分かりやすいです。
初心者は合計15〜20分から
初めてLT走を行う場合は、合計15〜20分程度から始めましょう。
例えば、次のようなメニューがあります。
- LTペースで15分連続
- 5分×3本、間に2分のゆっくりジョギング
- 8分×2本、間に2〜3分のゆっくりジョギング
最初から30分連続で走る必要はありません。
慣れてきたら20〜30分
LT走に慣れてきたら、LT強度で走る合計時間を20〜30分程度まで延ばします。
- 20分連続
- 10分×2本
- 8分×3本
- 2km×3本
距離で設定する場合もありますが、初心者は時間で管理した方が、走力に合わせやすくなります。
連続走がきつい場合は分割してもよい
20分連続で走れないからといって、LT走ができていないわけではありません。
途中に短いジョギングを入れる「クルーズインターバル」と呼ばれる方法でも、LT付近の強度を積み重ねられます。
連続走よりもフォームを保ちやすく、初心者には取り入れやすい方法です。
初心者向けLT走の具体的なやり方
初めて行うなら、次のメニューがおすすめです。
1.ウォーミングアップ
- ゆっくりジョギング:10〜15分
- 動的ストレッチ
- 50〜80m程度の流し:2〜3本
いきなりLTペースで走り始めると、呼吸や筋肉が準備できていないため、必要以上にきつく感じます。
2.LT走
初心者向けの基本メニューは次のとおりです。
- LTペースで8分
- ゆっくりジョギング2分
- LTペースで8分
合計16分です。
1本目から全力で走らず、最初の2〜3分は少し抑えましょう。
2本目の後半までフォームとペースを維持できれば成功です。
3.クールダウン
- ゆっくりジョギング:10分程度
- 必要に応じて軽いストレッチ
- 水分と食事を補給する
LT走部分だけでなく、ウォーミングアップとクールダウンを含めてひとつの練習です。
LT走を週3回の練習に入れる方法
LT走は、基本的に週1回で十分です。
週3回走る場合は、それぞれの練習の目的を分けます。
| 曜日 | 練習内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 火曜日 | LT走 | 速いペースを維持する力 |
| 木曜日 | ゆっくり長めのラン | 持久力と脚づくり |
| 土曜日 | ジョギングまたはインターバル走 | 回復またはスピード強化 |
インターバル走も行う場合は、毎週必ずLT走とインターバル走の両方を入れる必要はありません。
疲労が残りやすい人は、次のように交互に行う方法がおすすめです。
- 1週目:LT走+ロング走+ジョギング
- 2週目:インターバル走+ロング走+ジョギング
- 3週目:LT走+ロング走+ジョギング
初心者にとっては、高強度練習を増やすことよりも、無理なく継続することの方が重要です。
LT走でよくある失敗
最初の1kmから速く走りすぎる
走り始めは体力があるため、設定よりも速くなりやすいです。
最初の1kmを速く走りすぎると、後半に失速し、LT強度を維持できなくなります。
最初は目標ペースより5〜10秒遅く入り、徐々に合わせる方法がおすすめです。
毎回タイム更新を狙う
LT走はタイムトライアルではありません。
前回より速く走ることを毎回の目標にすると、強度が上がりすぎます。
同じペースを以前より楽に走れた場合も、十分な成長です。
体調が悪くても設定ペースを守ろうとする
睡眠不足や疲労がある日は、設定ペースが普段よりきつく感じることがあります。
その場合は、1kmあたり10〜20秒落とす、時間を短くする、ジョギングに変更するなどの調整を行いましょう。
ウォーミングアップを省略する
時間がないからといって、いきなりLTペースで走るのはおすすめできません。
最低でも10分程度はゆっくり走り、体を温めてからLT走を始めましょう。
LT走がきつすぎるときの代替方法
LT走が毎回きつすぎる場合は、無理に連続走を続ける必要はありません。
おすすめの代替案は、短く分割する方法です。
- 5分×3本
- 6分×3本
- 8分×2本
各セットの間に、2分程度のゆっくりしたジョギングを入れます。
それでも難しい場合は、LTペースを1kmあたり10〜20秒落としてください。
ペースを落とすことは失敗ではありません。
適切な強度で練習を継続する方が、速すぎるペースで1回だけ走るよりも効果的です。
また、ランニングを始めたばかりで、まだ30分のジョギングを継続できない人は、LT走よりも先に楽なジョギングを習慣化しましょう。
LT走に関するよくある質問
LT走は週に何回行えばよいですか?
初心者から中級者は、週1回が基本です。
週に2回以上行う方法もありますが、走行距離が多く、十分な回復時間を確保できる上級者向けです。
LT走とテンポ走の違いは何ですか?
LT走とテンポ走は、指導者や書籍によって使い方が異なります。
ほぼ同じ意味で使われる場合もあれば、テンポ走をLT走よりも少し遅い広い強度として扱う場合もあります。
名称だけで判断せず、「どのくらいの強度で、何分走る練習なのか」を確認することが大切です。
LT走はトレッドミルでもできますか?
トレッドミルでも可能です。
一定のペースを保ちやすいメリットがあります。
ただし、屋外との感覚に差が出ることがあるため、速度の数字だけでなく呼吸や主観的なきつさも確認しましょう。
LT走の翌日は何をすればよいですか?
休養または軽いジョギングがおすすめです。
脚の張りや強い疲労がある場合は、無理に走らず休みましょう。
まとめ|LT走は「速すぎないこと」が成功のポイント
LT走は、きついけれど維持できる強度で一定時間走り、速いペースを長く保つ能力を鍛える練習です。
ポイントをまとめます。
- LT走は全力走ではない
- 初心者は合計15〜20分から始める
- 長い会話は難しいが、短い言葉なら話せる強度が目安
- 週1回で十分
- 連続走がきつければ分割してよい
- ペース、心拍数、呼吸、体感を組み合わせて判断する
- 疲労が強い日はペースや時間を調整する
LT走では、速く走ることよりも、適切な強度を最後まで保つことが重要です。
まずは「8分×2本、間に2分のゆっくりジョギング」から始めてみましょう。
最後までフォームを崩さず、「あと少しなら走れそう」と感じられれば、その日のLT走は成功です。



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