ハーフマラソン1週間前は「鍛える」より「疲労を抜く」
ハーフマラソン本番まであと1週間。
ここまで練習してきた人ほど、
「もう少し走っておいた方がいいかな」
「最後に速い練習をしておきたい」
「休みすぎると走力が落ちそう」
と不安になると思います。
私も週3回でハーフマラソンに向けて練習しているので、レースが近づくほど「何かやっておいた方が安心」という気持ちはよく分かります。
ただ、大会1週間前になってから強い練習を増やしても、そこで得られたトレーニング効果が本番までに大きく走力を伸ばしてくれるわけではありません。
それより怖いのは、練習の疲労を本番まで残してしまうことです。
ここで意識したいのが「テーパリング」です。
テーパリングとは、大会に向けて練習量を少しずつ減らし、これまで積み重なった疲労を抜いていく調整方法です。
研究でも、持久系競技ではトレーニング量を減らしながら、ある程度の強度や練習頻度を残すテーパリングがパフォーマンス向上につながることが報告されています。
つまり、
1週間前の目的は「さらに速くなること」ではなく、「今持っている走力を疲労の少ない状態で本番に持っていくこと」です。
ここを間違えないことが一番重要です。
ハーフマラソン1週間前のおすすめ練習メニュー
週3回程度走っている市民ランナーなら、次のような調整が分かりやすいと思います。
| 本番まで | 練習例 |
|---|---|
| 7日前 | 8〜12km程度の楽なラン |
| 6日前 | 休養 |
| 5日前 | 30〜40分ジョグ |
| 4日前 | 休養 |
| 3日前 | 20〜30分+レースペースの刺激 |
| 2日前 | 休養または20分軽いジョグ |
| 前日 | 休養。走るなら10〜20分程度 |
| 当日 | レース |
普段の走行距離や経験によって調整する必要がありますが、基本的な考え方は同じです。
7日前:最後の少し長めのラン
大会1週間前なら、まだある程度走っても構いません。
ただし、この日に15〜20kmのロング走をして「最後の走り込み」をする必要はありません。
目安としては、
8〜12km程度を余裕のあるペース
で十分です。
普段15km前後を走っている人なら10〜12km程度、普段の走行距離が少ない人なら6〜8kmでも問題ありません。
ここで大切なのは、
「走り切ったけれど脚が重い」状態にしないこと。
走り終わったあとに、
「もう少し走れそう」
と思えるくらいで止めておきます。
5〜6日前:休養または軽いジョグ
ここからは徐々に走行距離を減らします。
30〜40分程度の軽いジョグで十分です。
ペースは気にしません。
私の場合も、普段のジョグで時計を見ると無意識にペースを上げたくなるのですが、この時期はペースより脚を動かして身体のリズムを保つことを優先します。
疲労感があるなら無理に走らず、休養日にして構いません。
3〜4日前:レースペースで短い刺激
完全にゆっくり走るだけだと、
「なんとなく脚が重い」
と感じる人もいます。
そこで3〜4日前に少しだけレースペースを入れます。
例えば1時間50分切りを目標にする場合、レースペースはおよそ5分13秒/kmです。
メニュー例は、
10〜15分ジョグ
→ 1km×2〜3本をレースペース付近
→ 10分ジョグ
程度。
あるいは、
30分ジョグの途中にレースペース5分×2〜3本
でも構いません。
海外のランニング専門メディアでも、レース週の刺激としてレースペース程度の短いランを入れ、速く走りすぎない方法が紹介されています。
ここではLT走やインターバルのような「追い込む練習」にはしません。
刺激を入れるだけです。
2日前:軽いジョグまたは休養
2日前は脚の状態を見ます。
脚が軽ければ、
20〜30分程度のゆっくりしたジョグ。
疲れがあるなら完全休養。
それで十分です。
大会が近づくと、
「今日休んだら走力が落ちるのでは?」
と不安になります。
しかし数日休んだからといって、ここまで積み上げてきた走力が急になくなるわけではありません。
むしろ疲労が抜けることで、身体が軽く感じる可能性があります。
前日:基本は休養、走るならごく軽く

前日は基本的に休養で問題ありません。
ただ、
「前日に完全休養すると脚が重くなる」
という人なら、
10〜20分程度のジョグ+短い流し2〜3本
程度でも構いません。
大会前日の15〜30分程度の軽いジョグを勧める例もあります。
ただし前日ランは必須ではありません。
「走った方がいいか」より「どちらの方が自分が気持ちよくスタートラインに立てるか」で考えます。
大会1週間前にやってはいけない3つのこと
最後の追い込みをする
一番避けたいのが、
「最後だからインターバルをやっておこう」
という考えです。
追い込めば達成感はあります。
ただ、そのトレーニングで得られるメリットよりも、筋肉痛や疲労が残るデメリットの方が大きくなります。
メリット
精神的には「練習した」という安心感を得られる。
デメリット
疲労、筋肉痛、怪我のリスクを増やし、本番のパフォーマンスを落とす可能性があります。
大会1週間前ではデメリットの方が大きいと考えます。
不安になって距離を増やす
これもよくあります。
特に、
「ロング走が足りなかった」
「20kmを一度も走っていない」
と気づくと急に距離を走りたくなります。
しかし、その不足を大会1週間前に取り戻すことはできません。
足りなかった練習を取り返すのではなく、今ある力でベストを出す準備に切り替えましょう。
新しい練習や筋トレを始める
スクワットやランジなども、この時期に急に増やす必要はありません。
普段から行っているなら軽く行っても構いませんが、
「ハーフマラソンには筋トレが良いらしい」
と突然始めるのはおすすめしません。
遅発性筋肉痛が出る可能性があるからです。
1週間前から食事で意識したいこと
レース前というと、
「カーボローディングをしないと」
と思う人も多いでしょう。
ただ、1週間ずっと大量の炭水化物を食べ続ける必要はありません。
まずは普段通り、
ご飯、肉・魚、野菜などをバランスよく食べます。
そして本番2〜3日前になったら、
ご飯、パン、うどん、パスタなどの炭水化物を少し意識して増やします。
大会直前に糖質中心の食事を意識する方法は、ランナー向けの栄養情報でも紹介されています。
ただし、
「前日にパスタを山盛り食べる」
といった極端なことは必要ありません。
食べ過ぎて胃腸の調子を崩しては逆効果です。
睡眠は「前日だけ」ではなく1週間で考える
大会前日は緊張して寝られないことがあります。
そのため、
前日に8時間寝よう
と考えるより、
1週間を通して睡眠時間を確保する
方が現実的です。
特に仕事をしながら走っている人なら、この部分はかなり重要です。
レース前だけ早く寝ようとしても、なかなか眠れません。
できれば1週間前から少しずつ就寝時間を早めておきます。
レース前に準備しておくもの
大会前日は練習より、準備に時間を使うのがおすすめです。
最低限、
- ランニングシューズ
- ウェア
- 靴下
- ゼッケン
- GPSウォッチ
- 補給食
- 飲み物
- 防寒着
- 着替え
を確認します。
特にシューズやウェアは、
本番で初めて使うものを避けます。
長距離では小さな擦れでも後半かなり気になります。
私なら週3回ランナーとしてこう調整する
私自身、普段は週3回、
LT走
ロング走
インターバル走
というように目的を分けて練習しています。
普段なら「今週も3回しっかり走ろう」と考えますが、レース週だけは別です。
私なら、
7日前:8〜10kmジョグ
4日前:30分程度+レースペース1km×2〜3
2日前:20〜30分ゆっくり
前日:休養
くらいにします。
普段行っているLT走やインターバルをそのまま行うのではなく、かなり軽くします。
ハーフ1時間50分切りなら5:13/km前後が目標ペースなので、3〜4日前にそのペースを少しだけ確認します。
ここで4:50/kmまで上げる必要はありません。
「5:13/kmが楽に感じるな」と確認できたところで終える。
それくらいで十分だと思っています。
そもそも1時間50分切りにはどのくらいの走力が必要なのか知りたい方は、「ハーフマラソン1時間50分切りに必要な走力とは?」でも詳しく解説しています。
よくある質問
1週間前に10km走っても大丈夫?
普段から10km以上走っている人なら問題ありません。
ただし全力の10km走ではなく、余裕のあるジョグにします。
1週間前にインターバル走をしてもいい?
基本的にはおすすめしません。
どうしても刺激を入れたいなら、本数を大きく減らすか、レースペース程度にします。
追い込まないことが最優先です。
前日は走った方がいい?
どちらでも構いません。
普段から休養後に身体が軽くなる人なら休養。
逆に休みすぎると身体が重く感じる人なら10〜20分程度走る方法があります。
1週間まったく走らなくても大丈夫?
完走目的なら大きな問題にならない場合もありますが、タイムを狙うなら個人的にはおすすめしません。
完全に走らなくするより、
短いジョグを残して疲労だけ減らす
方がレース感覚を維持しやすいからです。
筋トレはいつまでやっていい?
大会週は積極的に強い筋トレを行う必要はありません。
特にスクワットやランジなど、筋肉痛が出やすいトレーニングは控えます。
軽い体幹トレーニング程度にしておく方が安心です。
まとめ|1週間前は走力を上げるより疲労を抜こう
ハーフマラソン1週間前になると、
「もっと練習した方がいいのでは?」
という不安が出てきます。
ただ、この時期に大切なのは練習量を増やすことではありません。
これまで積み上げてきた走力を、疲労の少ない状態でスタートラインまで持っていくことです。
そのため、
練習量を減らす
短い刺激だけ残す
強いポイント練習をしない
睡眠を確保する
食事を大きく変えない
という5つを意識します。
ここまで数週間、数か月かけて積み上げてきたものは、最後の1週間の追い込みでは作れません。
逆に最後の1週間で疲労を残すことはできます。
だからこそ、
「何かを足す1週間」ではなく「余計なものを減らす1週間」
と考えて、本番を迎えるのがおすすめです。

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